灰色の町

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 西暦2020年、オリンピックを目前に控えた日本は、枯れた花の如く崩れた。  連鎖する大地震、伴う津波、各地で発生した竜巻……そして、日本全体を包み込んだ謎の白い霧と、降り始めた熱を持たない灰色の雪。  霧のせいで、通信はおろか、出入りすらできなくなった日本では、謎の奇病がはびこり、人々を苦しめていた。  2020年、そこには希望の未来など消え果、代わりに絶望の未来を告げる鐘が鳴り響いていた。  ------そんな、狂った時代の末路で、一つの奇跡が起ころうとしていた。  灰色の雪が降りしきる瓦礫と化した東京で、精神病の青年は真っ白な雪花のような少女と出合い、互いに支えあっていく。それは、青年の長かった孤独との、お別れの始まり。
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