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「にゃー」
そんな時、散歩に出ていた三匹の猫たちが戻ってきた。灰色に汚れた体を壁にこすり付け、こちらへやってくる。
「おかえり、ステラ」
よってきたステラを抱き上げて胸に抱える。すると、ステラは伸びをした後に、そのまま昼寝に入って行った。
ここまで猫に対してしっかり取り組む理由は、先日も言った通り、猫たちの世話を終えたら、少なくとも自殺したくなったらしてもいいとしたからである。
「猫ネコねこ、みんな、あなたの?」
三回言った理由は三匹いるからだろうか、そしてまだ名乗ってなかったことを思い出し、猫の名前と共に伝えてやった。
「あなたは、流……ステラ、シャノ、ミケ」
「ついでに言うとだな、そこの二匹には名前の由来があって――――――」
猫たちを愛でる姿に興味がわいた、と言えば聞こえはいいかもしれないが、この時の俺は軽い気持ちで猫の名前の由来を熱弁していた。
「というわけで、ステラとシャノだ……それとミケ」
ステラ、シャノ、ミケと繰り返しながら頭を撫でている姿は、とても記憶がないとは見えない。
どちらかというと、いくつかの記憶だけ無くなった、という方が正しい気がした。
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