灰色の町

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 そんな時、急な眠気に襲われる。不眠症のせいで三日間眠らなかったから、おそらく脳が無理やり眠ろうとしているのだろう、前からよくあったことだ。 「ん……」  眠ったところで、どうせ浅い眠りと悪夢のセットコースである。だから、少しでも眠りに落ちる前に何か見ておこうと頭を動かしたとき、公園の隅に、一輪の白い花が枯れそうになりながらも、鉢の中にひっそりと佇んでいた。 「あれは……スノーフレーク、だったかな」  精神がおかしくなる前、健常者だったころの記憶が呼び起される。そう、昔は花が大好きで、季節ごとに様々な花を植えては、花畑を作っていたのだ。 「そうだな……また、花畑が見れたら死んでもいいかな……」  心の奥からは、拒否の言葉は聞こえてこない。それははたして眠りに落ちる瞬間だからだろうか、それとも本当に花畑を見たら死んでもいいのだろうか。それとも、花の話では"あの事"を思い返してしまうからだろうか……。 「ま、いっか……」  遠くに見える、白くて長い髪のようなスノーフレークの花を見つめながら、眠りの世界へと落ちていった。
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