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「助けてくれ!!!」
助けてくれ?また声が聞こえた。今度は叫び声のようだった。少年は飛び上がり、声のする方を見た。テレビだった。エンドロールが全て終了し、画面が暗くなっていた。これはゲームの隠れた演出なのだろうか。もしかして、全面クリアをした後に出てくる新ダンジョンか何かの始まりだろうか。少年は汗を拭き取り、先ほどと気分がうってかわって、少しワクワクしていた。コントローラーを手に取る。
「それには触らなくていい」
再び声が聞こえた。少年はびくっと動いた。ボタンは何も押していない。それなのに、ゲームの中の声は反応をしている。
「お願いだ。話しをしてくれないか」
声は続いて出てくる。でも、どこかで聞いたことのあるような声だった。少年は、恐る恐る声を出してみた。
「君・・ファーラ・・?」
・・・・。声は聞こえない。やはりただの演出だったのだろうか。少年は、安堵なのか少しがっかりなのかよく分からない気分になった。コントローラーを置き、ゲームの電源を切ろうとし、ゲーム機に手を伸ばした。
「切らないで!!」
また少年はびっくりした。声は続いて発せられた。
「やっと君の声がここまで届いた。そうだ。僕はファーラだ。驚かせてごめん。君の力を貸して欲しいんだ」
やはり声の主はゲームの主人公のファーラだったのだ。少年はまた恐る恐る話してみる。
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