第1話

8/11
前へ
/11ページ
次へ
「ぼくの・・・力・・?」 「そうだ!君の力だ!」 声はすぐに届いたらしい。ファーラはすぐに返事をした。 「どっ、どうすればいいの?」 「簡単さ。君自身でこのゲームをクリアすればいいんだ」 「えっ!僕が?」 「そう!君がだよ。君が主人公ファーラとしてこのゲームをクリアするんだ」 「えっ、そっ、そんな。できないよ・・」 少年は弱々しくそう言った。 「何言ってるんだよ。君はたくましくゲームをクリアしたじゃないか。」 ファーラは少し苛立ちを覚えながらいう。 「えっ、でも・・あっ、その・・、どうして僕がそんなことをしなきゃいけないの?」 少年はモジモジしていた。ファーラは一度ゆっくり深呼吸をして話し始めた。 「俺は、本当はこのゲームの世界の人間じゃない。普通に、君と同じ世界にいるはずの人間なんだ」 少年は驚く。 「でも、出る事ができない。チャンスは一度だけなんだが、しくじってしまった。チャンスは、もう一度クリアすること。それだけだ」 「えっ・・。ミ、ミロラはどうしたの?君のお供は」 「実は彼もゲームの世界の住人ではないんだ。先に行ってしまった・・」 「・・ひどいな。最強のお供が先に行ってしまうなんて」 「そうだろ?だから、頼む!一緒にゲームをクリアしてくれ!!お願いだ!!」 ファーラは叫んだ。少年はしばらく考える。 「・・・・。うん。分かった。やってみるよ」 少年はそう言った。 「ありがとう!」 「僕が、ファーラにならなきゃいけないの?」 「そうなんだ。同じ人間が同じキャラクターとしてクリアしてもチャンスが訪れることはないんだ。俺がミロラとして全力で君をサポートするよ」 「分かった。頑張る」 いつしか少年の目は決意を表していた。このゲームをクリアしてこの人を助けてやりたいと思っていた。 「ありがとう!本当に感謝するよ!じゃあ、行こう!」 テレビの画面が白く光り始めた。光りはテレビの画面を飛び出し、少年の部屋全体へと広がった。少年はあまりの眩しさに右腕で目を覆った。一瞬、ふわりと体が浮いたような感覚があった・・・・。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加