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「ぼくの・・・力・・?」
「そうだ!君の力だ!」
声はすぐに届いたらしい。ファーラはすぐに返事をした。
「どっ、どうすればいいの?」
「簡単さ。君自身でこのゲームをクリアすればいいんだ」
「えっ!僕が?」
「そう!君がだよ。君が主人公ファーラとしてこのゲームをクリアするんだ」
「えっ、そっ、そんな。できないよ・・」
少年は弱々しくそう言った。
「何言ってるんだよ。君はたくましくゲームをクリアしたじゃないか。」
ファーラは少し苛立ちを覚えながらいう。
「えっ、でも・・あっ、その・・、どうして僕がそんなことをしなきゃいけないの?」
少年はモジモジしていた。ファーラは一度ゆっくり深呼吸をして話し始めた。
「俺は、本当はこのゲームの世界の人間じゃない。普通に、君と同じ世界にいるはずの人間なんだ」
少年は驚く。
「でも、出る事ができない。チャンスは一度だけなんだが、しくじってしまった。チャンスは、もう一度クリアすること。それだけだ」
「えっ・・。ミ、ミロラはどうしたの?君のお供は」
「実は彼もゲームの世界の住人ではないんだ。先に行ってしまった・・」
「・・ひどいな。最強のお供が先に行ってしまうなんて」
「そうだろ?だから、頼む!一緒にゲームをクリアしてくれ!!お願いだ!!」
ファーラは叫んだ。少年はしばらく考える。
「・・・・。うん。分かった。やってみるよ」
少年はそう言った。
「ありがとう!」
「僕が、ファーラにならなきゃいけないの?」
「そうなんだ。同じ人間が同じキャラクターとしてクリアしてもチャンスが訪れることはないんだ。俺がミロラとして全力で君をサポートするよ」
「分かった。頑張る」
いつしか少年の目は決意を表していた。このゲームをクリアしてこの人を助けてやりたいと思っていた。
「ありがとう!本当に感謝するよ!じゃあ、行こう!」
テレビの画面が白く光り始めた。光りはテレビの画面を飛び出し、少年の部屋全体へと広がった。少年はあまりの眩しさに右腕で目を覆った。一瞬、ふわりと体が浮いたような感覚があった・・・・。
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