第1話

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公然わいせつ罪及びわいせつ物頒布罪の保護法 益は社会的法益である善良な風俗である。 刑法第174条の「わいせつ」について、判例は「徒 に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な 性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」 とされる(大判大正7年6月10日新聞1443号22頁、 最判昭和26年5月10日刑集5巻6号1026頁)。 わいせつという概念は、法的に定義された概念であ るものの、時代と場所を超越した固定的な概念では ない [4] 。何がわいせつであるか否かは、その時 代、社会、文化に対応した一般人の性に関する規範 意識を根底に置きながら、社会通念によって相対化 され、これに対して具体的に判断されるものであ る。したがってある時代や状況における「猥褻」の 判断が普遍的に他のそれにおいて適用されるわけで はない。 判例も「性一般に関する社会通念が時と所とによつ て同一でなく、同一の社会においても変遷がある」 としつつ、「性に関するかような社会通念の変化が 存在しまた現在かような変化が行われつつあるにか かわらず、超ゆべからざる限界としていずれの社会 においても認められまた一般的に守られている規範 が存在することも否定できない」としている(最判 昭和32年3月13日刑集11巻39号97頁)。
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