4986人が本棚に入れています
本棚に追加
視線を下方向に向けると、そこにあるのは異国風の町並み。
…それも最早見慣れた風景、異国を母国と感じるのも自然な流れ。
街には人が溢れ、活気が溢れ、緑樹が溢れる。
小鳥が歌い、小川が流れ、風がそよぐ。
雲の流れは時をゆっくりと進め、人の流れは忙しなく針を進める。
どこにでも在りそうな、どこにでも有り得ない普通の町の風景。
…それを眺めながら、一言。
「………平和だなぁ…」
のんびりとした声は、緩やかな思考から流れ落ちる言葉を乗せる。
声に合わせて、周囲の空気までもがゆったりと流れる様な、不思議な感覚。
呟く男の様子を周囲の風景ごと切り取り、絵画にした時のタイトルは…
…平和という単語一つだけ。
………男は、平和だった。
最初のコメントを投稿しよう!