~第二部プロローグ~始まりが穏やかでも付いて来れるかは別問題

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視線を下方向に向けると、そこにあるのは異国風の町並み。 …それも最早見慣れた風景、異国を母国と感じるのも自然な流れ。 街には人が溢れ、活気が溢れ、緑樹が溢れる。 小鳥が歌い、小川が流れ、風がそよぐ。 雲の流れは時をゆっくりと進め、人の流れは忙しなく針を進める。 どこにでも在りそうな、どこにでも有り得ない普通の町の風景。 …それを眺めながら、一言。 「………平和だなぁ…」 のんびりとした声は、緩やかな思考から流れ落ちる言葉を乗せる。 声に合わせて、周囲の空気までもがゆったりと流れる様な、不思議な感覚。 呟く男の様子を周囲の風景ごと切り取り、絵画にした時のタイトルは… …平和という単語一つだけ。 ………男は、平和だった。
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