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二人は向かい合って竹刀を構えると
回りの空気は張り詰めたものになる。
それを切っ掛けに土方は合図を掛けた
『一本取れば勝ちだ。…始め』
斉藤は立居合の構えをしていて出方を見ている。
蛍も始めは立居合をしようとしていたが
同じでは戦いにくい為下段に構えた。
『…来い』
隙がなく何処から斬り込めば良いのか解らず
正面から踏み込み、大きく竹刀を振り上げた。
その瞬間斉藤は竹刀を引き抜くように
蛍の空いた脇腹に打ち付ける。
一撃必殺の居合い切り
構えの形から居合の予想はついてたたので
竹刀を振り落とし斉藤の攻撃を防ぐ。
バシンと大きな音が響いた
斉藤の竹刀を弾くと蛍は背後に回り込み
脇腹から肩にかけて切り上げるが
斉藤が振り落とす方が速く肩を取られてしまった。
耳元で音が響き肩がじんじんしてくる。
『勝負あり』
ありがとうございましたとお互い挨拶をして汗を拭う。
まさか二太刀で取るなんて流石新撰組か。
『…中々良い太刀筋だった。彼処で少しでも遅れていれば取られていたのは俺の方だ。ただ踏み込みが甘い』
それだけ言うと平隊士の元に行ってしまった。
『今日の一くんはよく喋るなぁ…。あっ蛍さんお疲れ様です!中々やりますねね!今度僕とも手合わせして下さい!』
『半井、お前の力は大体解った。存分に振るえるように隊を編成しておこう』
「はい。ありがとうございます」
まだ心臓がばくばくしていて
あの楽しさが忘れられない。
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