第一話 入隊

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二人は向かい合って竹刀を構えると 回りの空気は張り詰めたものになる。 それを切っ掛けに土方は合図を掛けた 『一本取れば勝ちだ。…始め』 斉藤は立居合の構えをしていて出方を見ている。 蛍も始めは立居合をしようとしていたが 同じでは戦いにくい為下段に構えた。 『…来い』 隙がなく何処から斬り込めば良いのか解らず 正面から踏み込み、大きく竹刀を振り上げた。 その瞬間斉藤は竹刀を引き抜くように 蛍の空いた脇腹に打ち付ける。 一撃必殺の居合い切り 構えの形から居合の予想はついてたたので 竹刀を振り落とし斉藤の攻撃を防ぐ。 バシンと大きな音が響いた 斉藤の竹刀を弾くと蛍は背後に回り込み 脇腹から肩にかけて切り上げるが 斉藤が振り落とす方が速く肩を取られてしまった。 耳元で音が響き肩がじんじんしてくる。 『勝負あり』 ありがとうございましたとお互い挨拶をして汗を拭う。 まさか二太刀で取るなんて流石新撰組か。 『…中々良い太刀筋だった。彼処で少しでも遅れていれば取られていたのは俺の方だ。ただ踏み込みが甘い』 それだけ言うと平隊士の元に行ってしまった。 『今日の一くんはよく喋るなぁ…。あっ蛍さんお疲れ様です!中々やりますねね!今度僕とも手合わせして下さい!』 『半井、お前の力は大体解った。存分に振るえるように隊を編成しておこう』 「はい。ありがとうございます」 まだ心臓がばくばくしていて あの楽しさが忘れられない。
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