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「柴田紗貴です…。えと、よろしくお願いします…。」
転入生は教室に入って来て、控えめに自己紹介をすると、ペコリとお辞儀をした。
「じゃあ空いてるとこに適当に座っとけー。」
俺らの担任は緩い。むっちゃ適当そうに見えんねんけど、まあ、しめるとこはしめる。
普段はホンマやる気なさそうに見えんねんけど、俺から見たらどっか朔夜さんを思い起こされて、嫌いにはなれへんタイプやねんなあ。
…全く似てへんけどなっ!!朔夜さんの方がむっちゃ男前やけどなっ!!
「うぅぅ、ぐすっ…。」
「…は!?ちょ、五十嵐どないしたん?」
俺らの教室は、机は個人の固定になってるタイプやなくて、長机で1つの机に2、3人座るタイプになっとる。席も決まってへんくて、いつも自由やねん。
俺はいつも紳と座んねんけどな。そんで後ろにはたいてい五十嵐が座っとる。
その後ろに居った五十嵐がいきなし泣きだしたからビビった…。
「だってさあ、中途半端な時期の転入生だよー?ここは王道転入生が来るとこでしょ?なんであんな普通な転入生なの…?黒マリモはどこ?瓶底眼鏡は?総受け設定で、変装といたら金髪サラサラ碧眼イケメンがお目見えするんじゃないの?俺の萌えを提供してくれる王道転入生はどこに行ったのー??」
「「………。」」
アカン、五十嵐が壊れてもうた。途中から何言うてんのか全くわからへんかった。
「直生、気にしなくて良いよ。」
「お、おん…。」
紳は呆れ顔でさっさと前を向きなおした。
「まあ、元気出せや?」
俺は机に突っ伏した五十嵐の頭を撫でてやってから前を向いた。
席は自由やから、後ろの方から埋まってく。空いてる席っつったら前しかなくて、転入生は一番前の席に座ったようや。
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