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「んーーーーーっ」
窓から射し込む陽射しで目を覚ましたパジャマ姿の少女は、ベッドから上半身を起こすと未だ重たい瞼を擦り、固まった体を解すためバンザイをするように両腕を天井に向けて伸ばした。
少女は寝ぼけた顔で首を傾げると、
「何時ー?」
と自分自身に問い掛ける。
それを確認するために壁掛け時計に目をやると、只今の時刻は午前六時三〇分。
いつも通りの起床時間である。
「顔洗いに行かなくちゃ」
天宮詩音。
腰まで流れる艶やかでサラリとした黒髪に、同色の綺麗な瞳。
柔和で整った顔立ちで、背は一六〇前半。
豊満ではないにしろ、決して貧相ではない胸の膨らみ。
世に言う美人である。
学校では大和撫子の詩音様などと呼ばれていたりもしている。
当の本人は美人や大和撫子を全否定しているが、それが余計に評価をあげてしまっていることには残念ながら気付いていない。
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