海底よりも深い

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   昨日通り過ぎた台風で、排水路や川は濁りビニール袋や何処からか飛ばされたゴミなどで汚れ切っていた。  川と壁の間に引っ掛かったような腕らしい棒切れさえも、雨で綺麗サッパリと洗われた道を、溜め息吐(つ)きながら歩く少女は気付く事はない。   「、はぁ~…。学校も台風で吹き飛ばされれば良かったのに。」  かなり物騒な言葉を小さな声で呟いても、台風に置いてきぼりにされた風が吹き飛ばしてしまう。その言葉が誰かの耳に届かない程に高く高く飛ばして。  そんな少女を誰も気にする事もなく、急ぎ歩きで追い越していく人の群れの中で、少女を見つめる数名の少女達と、その少女達から離れた場所にいる少年が一人。 「あらあら、まさか。こんなところで貴女に会ってしまうなんて。なんて不運なの。いいえ、なんて悪運なのかしら。」  溜め息吐きながら歩く少女の前に回り込んで、嘲笑う少女達。 「、お、おはようございます、」  こぼれそうになる涙を下唇を噛みながら堪えて、自分を嘲笑う少女達に軽く会釈して朝の挨拶をする。  その態度が気に入らないのか、小さく舌打ちする別の少女。 「あらあら、夏輝さん、舌打ちなんて下品だわ。…美しい月と書いて『みつき』と呼ぶ美月さんも、台風で綺麗サッパリ洗われて美しくなられたら?今の貴女は、全く美しくないわ。…相変わらず。私(わたくし)のように毎日自分の美しさを磨かねば、ネェ?」  腕を後ろに組みながら、目線は少し上から見下して美月を嘲笑う少女とその数名。  
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