海底よりも深い

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   これが、美月の朝の日課。  毎朝必ず彼女を待ち伏せして、目の前に回り込んで美月の容姿や服装や声などを徹底的に嘲笑い罵り、去り際に鼻で笑われる。  美月の容姿や声や服装に何の問題もない。ただ、彼女達が気に食わないだけ。彼女達の中心人物であり、リーダー的な少女の名前は月影佐波(つきかげさわ)。自分の苗字が、美月の影となる事が嫌なだけではなく他にも理由があって、美月を朝から帰宅する時間迄精神的に攻撃する。佐波のグループの中に、舌打ちした夏輝もまた美月を精神的または肉体的に攻撃する。攻撃する理由は全くない。佐波の命令、いや佐波の家柄に逆らえないからストレス発散の為に美月に攻撃する。他もまた同じ。  佐波の、月影という家柄は代々酒蔵なのだが、佐波の父親は月影一真という名前の政治家だが婿養子で、月影の財力欲しさに結婚した。母親は月影花という名前で外見は華奢な女性だが、残念な事に性格は悪く娘の佐波は母親の美と性悪を受け継いでしまった。  傍若無人で男好きだった花は、なかなか結婚せずに自室に男を連れ込んだり店ごと買ったりと傍若無人な為、嫉妬と憎悪もありヤキモキした親戚の知り合いに佐波の父親がいたのだった。  二人の縁が良縁か悪縁かは一切気にしなかった。  やっと片付いたと安堵していた。仕事に集中出来る、と。  
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