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「ふーん、で?結局フォアボールで出たはいいものの、ヒットじゃなきゃ駄目だ!!と言われてしまい、結果…」
「深夜まで居残り練習をしていたので昨日の約束をトンズラする形になりましたマジすみませんでした」
社会人に必要なスキル、平身低頭でテーブルの反対側にいる黒髪ポニーテール少女に謝罪する。
少女はふん!別にいいわよ、昨日はわたしも練習おそくなって疲れていたとこだったし!?とそっぽを向きながら話す。
少女は山井春音。はるねという名前からはとても連想できたものじゃない、破天荒な行動が目立つ男勝りな少女なのだあああああ!?
「右腕の関節をしめないでえええっ!!プ、プロ野球選手の1番大事なパーツがああああ!?」
「うっさい!!あんたが失礼なことを考えるのがいけないんでしょ!!罪よ!!」
昨日の罪滅ぼしを兼ねて朝に来てもらったことも含まれているのかな。やっぱり駄目だったのかな。
朝練が始まる前だから余裕だとかメールで言ってたくせに。てか読心術の使い手多いなあ!
「ギブギブ!!店にも迷惑かかるからギブ!!」
白髪が貴重な存在になりつつある店長が物陰からこちらを見ている。
「開店前の店にわたしを呼んだくせに何言ってんのよ!!どうせ開店しても誰も来やしないんだから、店長だってこんぐらい騒がしい方が嬉しいわよ!!」
店長は静かに泣き崩れた。大丈夫だ店長、俺は見ていたぜ。あんたの最期を…
「勝手に死なせないでもらえますか?」
「すみませんでしたー」
浦和の古い商店街の一角にある喫茶マリンには5ヶ月前に訪れたのが最初だ。
甲辺さんが紹介してくれた店で、雨で軽めの練習で済んだ日に初めて来た。
1人で窓側4人席を陣取り、
コーヒーをすすりながらボケーっとする…至福のひと時だった。
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