彼ら

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覚えているのは、初対面なのに飲み過ぎてリバースしてしまったこと。 タバコと香水の混ざった瑛二くんの匂い。 そして、心地よい腕の感触。 高鳴った自分の胸。 翌日の仕事は瑛二くんのことを思い出して、いつもよりボーッとすることが多かった。 だけど。 もう会うことはないかもしれない。 そう思うと、あの居酒屋でのことが夢のように思えた。 なんとなく沈む気持ちを抱えて日々を過ごして、友達に誘われた合コンになんとなく参加して、なんとなく元気が出て、なんとなく瑛二くんのことを忘れられる気がした。 ハッキリしない、漠然とした日々だけどまぁいっか。 なんて思っていたのに。 「…久しぶり。」 合コンしているお店のトイレから出たところで、あたしの前から歩いてきて声をかけた人物。 声の方を見上げると、背の高い顔の整った男性。 …瑛二くん……。 目が合った瞬間に心臓が大きな音を立てた。 驚きと喜びが入り混ざり、自分の顔が熱くなるのを感じた。 それからちょっと話して、瑛二くんが「飲み会が終わったら連絡してね」って笑い、その顔を見て自覚してしまった。 あたし、瑛二くんのこと……。 「ねーちょっと!マジやばい!カッコイイ~!」 あたしにそう言って興奮する瞳を尻目に、瑛二くんの連絡先が本当にあたしの携帯に入っているのか気になって仕方なかった。
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