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朝だ。
瞼の裏からでも分かるくらいに明るく太陽は上り、心地よい暖かな光を届けてくれる。
目覚めの良い、朝。
のはずなのに。
俺は目を開けることが出来ない。
「すすす、素晴らしい…!!やっぱり市太には似合うと思いました、ああ、ああ、可愛い、かわ、きゃわわわわわわわわわわ」
う、うるせぇぇ。
「やはり、私の発明した猫耳は、あれですね、市太にしか似合わない。うぶっ、鼻血が出てきそうです。」
猫耳だぁぁ!?どうりで頭の辺りに違和感があると思ったよ、何てことしてくれんだよ。
もうこれは起きるしかない。
パチリ、と目を開けると、カメラを連写して撮っているところだった。
「兄貴…おはよう。何してんの…」
おっと、と呟きながら何事もなかったかのようにカメラをポケットにしまう。
そこには憎らしいほどに整った爽やかな顔の兄がいた。ただ、鼻血が垂れたままになっている。
「おはよう、天使、あ、間違えた、…市太天使。」
言い直した意味は!?
「兄貴、じゃないでしょう?お兄ちゃん、でしょう?もしくはお兄たま…」
め、めんどくせぇぇ。
「兄ちゃん…」
「ヒイイイ!!!可愛すぎは罪!!!!」
こんなのが、俺の正真正銘の兄だ。
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