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「宮野は、どうして高井が自分の邪魔をするのか、考えたことある?」
「それは……修平が、ユリナのことをバカにしてるからでぇ……」
「その理由に、宮野は納得できるの?」
「な、納得って言うか、それしか考えられないって言うか……っ」
「はい、ストップ。そこで蓋しちゃ駄目だよ。もっと自然に考えてみようか」
「え、でもぉ……」
「例えば」
不意に長瀬がこちらを向く。
私の方と自分の方に指先を行ったり来たりさせながら、言った。
「俺と羽村が幼なじみで、いつも一緒にいるのに、いっつも言い合いしてる仲だとする。それはもう、恒例行事みたいに」
「……それって」
「まあ、聞いて。それでだ。羽村が誰かを好きになりそうになると、いつも俺が邪魔に入るんだ」
「は!?」
思わず出た声は私のものだ。
長瀬は私の方を見て眉間にシワを寄せながら「例えばの話だよ、いちいち反応するな」と言い捨てた。
再びユリナちゃんの方を向いて、またやさしく語りかける。
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