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ふとそう思ったが、口には出さなかった。
ユリナちゃんのためにも、ここは頑張ってもらうしかない。
長瀬は嫌味なくらい柔らかい笑みを浮かべて、ユリナちゃんに言った。
「じゃ、方法はひとつだ。今日は二人とも早く上がっていいから、一緒に飲みにでも行っておいで。酒が入った方が話しやすいだろうし」
「……でもぉ、ユリナ、仕事がぁ……」
ちらり、こちらを伺ったユリナちゃん。
同意して欲しい、けれど反対して欲しい……そんな矛盾が瞳に浮かんでいる。
私は微笑んで、答えた。
「大丈夫だよ。明日からでも間に合うから。先にそっちやっつけちゃわないと、集中できないでしょ?」
「……うぅ……ごめんなさいぃ……」
「いいから、気にしないで。それより、ちゃんと話して、明日はスッキリして来てね」
「はいっ……!」
ずっと困ったような顔をしていたユリナちゃんに、ようやく笑顔が戻った。
やっぱりユリナちゃんは、笑っている方がいい。
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