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「……じれったいだろ、あいつら。俺からしたら高井の行動なんて、わかりやすくて笑えるくらいなのに」
「え、そうなの? じゃあ高井くん、本当に?」
「ああ、十中八九、そうだと思う」
「えー! そうなんだ! すごい、全然気づかなかった!」
わあっ、とはしゃいだ私に、長瀬の皮肉っぽい笑みが刺さる。
「羽村は鈍感だからな」
「何よ、失礼な!」
「事実だろ、馬鹿」
そう言い捨てた長瀬は、今にも噛み付きそうに臨戦態勢に入っていた私の頭にぽん、と手を乗せて言う。
「ま、いーんじゃねーの? 上手くいきそうだし」
「……そーだね」
上手いこと、ユリナちゃんと高井くんの話に戻されて、私の戦意はみるみるうちに萎んでいった。
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