【第13話】仮説と結論、彼女の場合

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  「自分に素直になるって、エネルギーいるもん。見栄とかプライドとか、いろいろ邪魔するし。なのにその労力を惜しまないで、気持ちを伝え合った二人って、すごいなぁ、と」 「……へえ」 長瀬が少し、感心したような声を漏らした。 私は「よっ、と」と零して、自分のMacへと向き直った。 「さて、仕事しよっかな」 「……ああ、そーだな」 キィ、と小さな金属音が聞こえて、長瀬も自分の仕事に取りかかったのがわかった。 カタカタ、操作する音をBGMに、私はまだ考え事を続行していた。 端的に言うと、私は恋愛が苦手なんだと思う。 もちろん、恋をしたことがないなんてことはない。 好きな人ができたことも、彼氏がいたことだって、もちろんある。 素敵だなと思う人だって、……いる。 なのにどうして、こんな風に思うんだろう。 自分でもよく分からない。 .
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