2557人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
だからこそ、私とユリナちゃんは、二人の真似をしても仕方ない。
それではA案のただの劣化版に陥る可能性もあるからだ。
「さて、どうしよっか……」
「そうですねぇ……」
あらかじめ、大まかな方向性は決めてあるとは言え、細かな部分は私たちに一任されている。
二人であれこれ案を出し合って、それをひとつずつ探って、また考える。
実は、実際の作業に移る前のこの時間が、何より大切だったりする。
手を動かして、迷ったとき。
判断基準になるのは、このときの話し合いとそこで決めたコンセプトになるからだ。
しばらく頭を付き合わせて考えていたが、少し休憩することにした。
私はミルクティー、ユリナちゃんはお茶を飲みながら、しばし和む。
「……あー、でも、本当、修平にだけは負けたくない……っ!」
お茶のペットボトルを握りしめて言ったユリナちゃんからは、殺気すら漂っていた。
私は恐る恐る、その続きを促す。
.
最初のコメントを投稿しよう!