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「……また、何かあったの?」
「大アリですよぅっ!」
がばっと顔を上げ、私へと向き直ったユリナちゃんの勢いに、また圧倒される。
私はこの後来るユリナちゃんの高井くん批判へと、体を構えた。
「あいつっ……またユリナの邪魔したんですよぉ!? せっかく上手くいきそうだったのにぃ!」
「え? 上手く、って……もしかして、この間の?」
「そうですよぅ! 土曜日、谷さんとデートしようって約束して、すっごい気合い入れて準備して、それで出かけようとしたらっ……!」
ふるふる、震えるユリナちゃんの手が、怖い。
いや、私に危害を与えられるなんてことは、絶対にないんだけど。
「あいつっ、修平が家の前に立ちはだかって! 『ちょっと付き合え』とか何とか言って、無理矢理連行されて……っ! しかも行き先、電気屋ですよぉ!? ひとりで行けよバカ! って思いません!?」
「そ、それで谷さんとは……」
握りつぶされそうなペットボトルを心配しながら聞いた私。
途端にユリナちゃんの勢いがそがれていく。
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