【第13話】仮説と結論、彼女の場合

6/40

2557人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「……また、何かあったの?」 「大アリですよぅっ!」 がばっと顔を上げ、私へと向き直ったユリナちゃんの勢いに、また圧倒される。 私はこの後来るユリナちゃんの高井くん批判へと、体を構えた。 「あいつっ……またユリナの邪魔したんですよぉ!? せっかく上手くいきそうだったのにぃ!」 「え? 上手く、って……もしかして、この間の?」 「そうですよぅ! 土曜日、谷さんとデートしようって約束して、すっごい気合い入れて準備して、それで出かけようとしたらっ……!」 ふるふる、震えるユリナちゃんの手が、怖い。 いや、私に危害を与えられるなんてことは、絶対にないんだけど。 「あいつっ、修平が家の前に立ちはだかって! 『ちょっと付き合え』とか何とか言って、無理矢理連行されて……っ! しかも行き先、電気屋ですよぉ!? ひとりで行けよバカ! って思いません!?」 「そ、それで谷さんとは……」 握りつぶされそうなペットボトルを心配しながら聞いた私。 途端にユリナちゃんの勢いがそがれていく。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2557人が本棚に入れています
本棚に追加