3人が本棚に入れています
本棚に追加
食べたい気持ちが膨れちゃって、眼前に宝物があるのにそんなこと言われたら、誰だってすこし、苛ついちゃう。小人の声が聞こえなくても、聞こえても一緒。僕達人間の欲がね、小人の声が聞こえちゃったって、ちゃんと体の中を走ってる。
我慢がきかなくって、いよいよ食べちゃうんだ。宝物っていくらいったって、飴玉さ。ボリバリ、ゴリ!ボリ、バキン!簡単に、一瞬で食べ終わっちゃう。でも、おいしい。それはもう夢中になるほどおいしくって。いつの間にか小人の声が聞こえなくなってることになんか気付かないくらい。一息ついて、あれ?小人はどこいったんだろう?探したって呼んだって出てこない。おーい、小人。おーい。
「僕はここさ!」
声の方を向くとね、大きなお腹が見えるんだ。その上に、はるか遠くの小麦畑みたいな色をしたお山の頂上に、やっとのことで小人を見つけるんだ。
「困ったね、君は。宝物を食べちゃうなんて。でもね、おかげで僕達小人の夢が叶ったんだ!ほら、見てよ!」
小人が指差す方には、たくさんの国があって、それぞれにたくさんの小人がすんでる。どうやら、小人の世界にやってきたみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!