思い込みの国

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::: 永遠に広がるのではないかと思うほどの荒野に、東西に伸びる道があった。 道には一台のオフロードバイクが砂埃を立てて走っている。 運転手は帽子をかぶっており、ゴーグルをはめている。 顔には日焼け対策にバンダナを巻いている。 十代後半くらいだろうか、目元はまだ若い黒髪の男がハンドルを握る。 「ねぇ、さっきの説明で旅人さん、分かったかな?」 男の後ろに座るものが問う。十代前半か、もしかするとそれにも満たないか。 「どうかな、聞いて来れば?」 男はおどけて言う。 「もう、ランツの意地悪」 「旅は自分の力でするものだよ、シオリ」 ランツと呼ばれた男は言い、後ろに乗るシオリと呼ばれた者は納得いかないように唸った。 「シオリ、スピード上げるからつかまっててよ」 「大丈夫だよ、ランツ。もう慣れたから」 荒野に東西に伸びる道を、オフロードバイクが砂埃を立てて走る。
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