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『とりあえず、現状を整理すべきだ。』まず真っ先に思ったのがそれだった。
この不思議な場所が夢なのか、現実なのか。更には現実だった場合、俺は寝ている間にどうやってここまで来た、ないし連れて来られたのか。考えるべき事は山ほどある。……が、とりあえず今一番気になるのは、だ。
「………腹減ったわ…」
ちょうど良いタイミングで俺の腹が音を立
てた。
「すみません、どなたかいらっしゃいますかー?」
まぁ、状況を省みて返事が返って来るはずも無く。失礼ながら、勝手に散策させて頂く事にした。
まぁ、目が覚めた時点で監視、拘束とかが無かったから誘拐だとかそういう筋はなさそうだけれど…それでも、やはりこの状況はやばい。何処とも知れない家のよくわからない部屋に寝かされていたのだ。焦らない方がどうかしている。
などと心の中で考えながらも、どこか冷静な自分もいる事に気がついて驚いていた。俺ってこんなに不測の事態に強かったっけ…?
「あ!おにーちゃん部屋にいないとおもったらこんな所にいたのね!」
「……ッ!?」
たった今、俺が曲がった角の向こうから、見知らぬ少女が顔を出した。
どこかあどけない感じの、しかしその雰囲気に似合わずこれまた高そうなドレスを着た少女である。
「えっと…君は?」
「んー?あたし?あたしはショーって言うんだよー。多分おにーちゃんと同じ経緯でここにいるんだけど、まだよくわかんない。まぁ、とりあえずおにーちゃんをあの部屋で寝せておいてあげたのはあたしだよ。」
そうか…それは、感謝しなくちゃいけないな…って、おい待てキミ今何か凄く重要な事を…!
「俺と同じ経緯でここに来た…って?君はここに住んでいるんじゃないのかい?」
すると少女、いや、ショーは大きな目を瞬かせながら、
「違うよ?あたしも三日前くらいにここの庭に寝てたの。おにーちゃんも庭で倒れてたからあの部屋に運んであげたんだよ?」
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