2336人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
『前回のお詫びということで……羽村さん、何が食べたいですか?』
『本当に気にしないでください。でも、リクエストするなら……お刺身かお寿司が食べたい気分です』
『わかりました。一軒、馴染みの店があるのでそこにしましょう。少しわかりにくい場所にあるので、待ち合わせは駅前で』
『かしこまりました』
……神谷さんとメールでそんなやりとりをしたのは、ついさっきのことだ。
白い息が街に消える。
気がつけばもう、季節は冬へと移行していたようだ。
人が忙しなく行き来する駅前で、私はそっと携帯を開き、時間を確認した。
時刻は夜の九時を過ぎている。
いままでの待ち合わせよりは、少し遅い。
と、そのときタイミング良く、声がかけられる。
.
最初のコメントを投稿しよう!