2336人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
ずきん。
音がしそうなくらいに、胸が痛んだ。
その事実に、内心ものすごく動揺していた。
どうしてここで、私が傷ついたように、感じるの?
それに何より、長瀬の表情が、いつもと違ってた。
いつも会社で見せている、私以外の人に応対する時の、嘘みたいに人当たりのいい上っ面。
にっこり綺麗に笑うけれど、そこに感情は欠片もない。
それを見抜けるくらいには、一緒にいた。
勘違いとかじゃなくて、今、長瀬は私に何か……見えない“線”を引いたように、感じた。
.
最初のコメントを投稿しよう!