0人が本棚に入れています
本棚に追加
乾杯の後、僕はビールを一気に半分まで飲んだ。
少し酔わなきゃ、この最高の時間を無駄にしそうだからだ。
彼女は一口飲んで『凄い飲んだね。』と僕に言った。そして、あっと声を漏らし『私、ササノケイコ』と名乗った。
僕は彼女の名前を知らなかったのだ。
僕は『アキハヒデオ』と名乗った。
彼女は『漢字は?』
何かに書くにも書くものがない。『春夏秋冬の秋に葉っぱの葉で秋葉。ヒデオは英雄って書きます。』
『へ~、カッコイイですね、英雄って。』
僕は、そんなカッコイイものではないと言おうとしたが、その前に彼女は『私は、笹の葉の笹に野原の野。ケイコは敬に子供の子。』笹野敬子-
その漢字を頭に描いた。
続いて『仕事は?』
『ホテルマンです。レストランのサービスを。』
『カッコイイ!』また、彼女が言った。
『全然。誰にでも出来ますよ。え~っと』
僕は、笹野さんと呼ぶか敬子さんと呼ぶか悩んだ。
『私はブッティックで働いてます。あと、敬子でいいですよ。』
その後、いくつか質問をお互いしたが、敬子と呼ぶ事はなかった。
笹野敬子-
32歳、独身。
最初のコメントを投稿しよう!