【第15話】憧れと現実と、その矛盾

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  助手席側のドアが静かに開いて、その先には神谷さんの笑顔。 「ごめん、待たせた?」 「い、いいえ!」 ぶんぶん顔を振って、車に近付く。 黒くて艶のある、スポーツタイプの……こういうの、SUVって言うんだっけ。 車に全く詳しくない私は、立派な車だなあ……くらいしか感想が出てこないことを申し訳なく思った。 神谷さんに促されて、助手席のドアをそっと開く。 「足元、気をつけて」 段差のことを言われているんだと気づいて、そんな気遣いができる神谷さんをさすがだと思った。 神谷さんは、私が座ってシートベルトを締めたと確認してから、車を出した。 .
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