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ふと時計をみると、まだ約束の五分前だった。
私の視線に気づいた神谷さんが、苦笑して言う。
「待ちきれなくて、早めに家を出たんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。……あまりに早過ぎたから、ちょっと時間潰してたくらい」
自分の行動に笑う彼は、何だか幼く見える。
「まるで、遠足前日の子どもみたいだよね」
「いえ……」
そんなこと、ありません。
待ちきれないなんて、私にはもったいない、です。
そんな言葉を飲み込んで、私は首を振った。
明るい光の中、運転している神谷さんは、仕事や飲みの場とはまた違って見える。
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