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「あの、ちょっとお話があるんですけど…」
中々言い出せない私に代わって、彼が口火を切った。
「実は今日、病院に行って来て、産婦人科に行って来ました」
「え…」
お母さんは固まった。お父さんは何も言わない。
「それで、9週と2日って言われましまた」
「…うん…そうじゃないかと思ってたよ…」
お父さんがタバコに火を点けながら言った。
「ずっと具合悪いって言ってたもんね…」
お母さんは優しく言った。
「どうしようか…そしたら、早めに籍入れるか」
「え」
突然の提案に、私は戸惑った。
「結香の前にも、もう一人いるはずだったんだよね…その子がダメになったとき、凄く哀しかったからさ…上手く行くか分かんないけど、できるだけ頑張ってあげなよ」
お母さんのその言葉を聞いた瞬間、涙が溢れた。
「でも、安定期に入るまでは、ここにいた方が良いと思うんですよね」
「まあ、そうだな」
彼の言葉に、お父さんが同意した。
「年明け位?年末年始のバタバタが落ち着いたらな」
二人は暖かくこの命を受け入れてくれた。
良かった…。一番の不安材料がなくなった私は、自分の中の鼓動に愛しさを感じていた。
もう私、一人じゃないんだ…。今まで以上に自分の体を労らないと。
バイト先の店長にも話して、辞める時期も決めないとだし、結婚式の写真も取らないと。
やることいっぱいだな…。
でもやっぱり親だな…。何も話してないのに、ちゃんと知ってた。
私が悩んで、苦しんでいたのも。やっぱりすごいよ…。
私もそんなママになりたいな…。
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