第1話 始まりの不安

12/13
前へ
/13ページ
次へ
次の日 私はバイトが終わると、店長に話をした。 「店長、お話良いですか?」 「…何その、ニヤニヤして」 私は自然と頬が緩んでいたらしい。 「えー、えへへ…あのね、最近ずっと具合悪かったの、つわりだったの」 「ぶっ…!何だそれ!」 店長は思わず吹き出して、大笑いしていた。 「マジかよ…ああ、でもおめでたいね」 吸っていたタバコを消しながら言った。 「まさか城内に先を越されるとはな…親戚の叔父さんの気分」 30才で未婚、彼女もいない店長は肩を落とした。 「初めてバイトに来た時は学生だったのに…あっという間に成人して、もう結婚か…」 何だか遠い目をしてるから、放っておいて先に行こう。 「それで、お腹大きくなると大変だから、忙しいお正月が終わったら、バイトも終わりにしようと思ってて…」 「はいはい、分かったよ」 「ありがとうございます!それじゃあ、お先に失礼します」 私はルンルン気分でスキップしていた。 「あ、ねぇねぇ、あのねー」 私はそのあとも、色んな人に言いふらしていた。 明日は誰に話そうか、楽しみになっちゃうな…。 認めてもらえただけで、こんなに違うんだ…。 私はそれからは、精神的な不安が無くなったからか、体調もかなり良くなっていった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加