第1話 始まりの不安

8/13
前へ
/13ページ
次へ
次の日、私はまたロングだったバイトを、夜だけ休みにしてもらった。 その次の日も、体調が悪くて休んだ。 どうしよう…確実に体調悪い日が増えてる。これ以上誤魔化せない。 もう限界…誰か助けて…。私はついに耐えきれなくなって、仲の良いパートさんの中で一番口の固い人に話すことにした。 「うぅ…菊池さん…」 彼女はパートさん達の中では一番若く、他のおばさん連中とは違って、こういうことは秘密にしてくれる。 「どうした?泣いてんの?」 私は知らず知らずに泣いていた。それくらい、精神的に限界に来ていた。 「もう私…どうして良いか分かんない…」 「どうした、どうした?」 「最近ずっと体調悪くて…多分、それが…妊娠ぽくて…」 「検査薬は?」 「陽性だった…」 「ああ…じゃあ、ほぼ確定か…」 「とりあえず、月曜日に病院行くけど…パパとママが何て言うか…」 私は体調が著しく悪いことで、精神的にもかなり追い詰められていて、不安が再燃していた。 「大丈夫だと思うよ?孫ができて喜ばない親なんかいないと思うよ?」 「そうかな…?」 「そうだよ!だから大丈夫」 「うぅ…」 「もう仕事に戻らないとだから、行くけど、そんなに泣いてたら、赤ちゃんも悲しいよ」 「うん…ありがとうございました」 そうだ。私が悲しいと、赤ちゃんも悲しいんだ。 「あ、そうだ…菊池さん、皆には…」 私は口に人差し指を当てた。 「大丈夫、分かってる」 「本当にありがとうございました、お先に失礼します」 「お疲れ様、お大事にね」 私は涙を吹いて家に戻った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加