第1話 始まりの不安

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2011/10/31 今日、私は彼と一緒に産婦人科を受診に病院に来ている。正直、結構苦手なところだ。 この辺りでは、産婦人科のある大きな病院はここしかないから、凄く混む。 しかも産婦人科は健康保険が使えなから、自費診療でかなり高いらしい。 初診料も含めると2万位は考えた方が良いと聞いた。 さすがにそれは高過ぎると思うけど…そんなもんなのかな? 「城内(しろうち)さん、城内結香さん」 私は名前を呼ばれて、病室に入った。 「えーと、妊娠判定で良いのかな?」 「あ、はい」 先生は男の人だった。やはり相手が男性だと、内診は抵抗がある。 「じゃあ、奥にどうぞ」 私は示されたカーテンの奥に入った。 「では下を全部お取りになって、椅子に座ってください」 看護師さんの指示通りに、私は服を脱いで椅子に座った。 「動きますよ」 先生の言葉の後に、椅子が回転して、足が開かれていった。 うぅ…やっぱり嫌いだ。 一応カーテンで仕切られて、向こうは見えなくなっている。 「いっ…!」 中に何かの器具を入れられたらしく、一瞬痛みがあった。 もう少し丁寧にやって欲しい。 「はい、良いですよ」 先生がそう言うと、椅子が回転して、元に戻った。 「お着替え終わりましたら、こちらにどうぞ」 先生は診察室に戻りながら言った。 「じゃあ、そこに寝てくれる?」 私が戻ると、大きな機材を用意しながら先生が言った。 「はい…」 私がそのベッドに横になると、看護師さんがガーゼを持ってきて言った。 「ちょっとお腹診るので、ズボン良いですか?」 私は下腹部が見える様に、すごくだけズボンを下ろした。 そこに妙に生暖かいジェルが塗られて、見たことのない機械が当てられた。 それはエコーの様で、私の内部が見えているみたいだ。 「大きさ的に、9週と2日ってところかな?」 え、そんなこと、そんなさらっと言う!? 「中絶の指導期は8週だから、もうギリギリかな?これ以上経つと、母体に負担がかかるから、止めるなら明日にでも手術の日取りを決めないと」 しかも、そんなにすぐ決めないといけないことなの…? まだ覚悟も何もできてないのに…。 「継続するなら、来週位に予定日を算出して、母子手帳をもらってください」 私達は顔を見合せた。 「心音聞きます?」 先生がそう言って機械のスイッチを入れると、ドクンドクンと、大人の倍位のペースで鼓動が聞こえる。 ずるいよ…。
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