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「ただいま……」
ドアを開いて、反射的に出た言葉に、長瀬が後ろから「おかえりー」と答えた。
それが妙に鼻について、引きつった顔で振り返る。
「……ここはアンタの家なわけ?」
私の苦々しい顔を見ているくせに、長瀬は涼しい表情だ。
悪びれもせず、靴を脱ぎながら言う。
「ん? まーそのうちそーなるんじゃねーの?」
「なるわけないでしょ、馬鹿」
ぴしゃり、言い捨てた私に長瀬は笑う。
「冷てーな、羽村は」
ケラケラ笑う長瀬に、ダメージを受けた様子は見られない。
駄目だ、マトモに相手にしていたら、血管切れそう。
私は玄関に長瀬を置き去りにしたまま、部屋へと進んだ。
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