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「これで全員揃った訳だが、早速本の中へと行く。異論はないな?」
どうせ嫌だと言っても連れて行かれるのだろう
俺達人間組は一様に頷く
するとどこから取り出したのか、晴の手には本が一冊
絵本のようだ
晴「最初だから簡単に終わるモノを持ってきた」
スイル「なら詳しい事は本の中に入って話そうぜ」
晴「そうだな。では道を創ろう」
來「よーし頑張るぞ」
妖精三人は本を中心に囲む
そして両手を本に向けかざしだす
すると本が淡く光り出し、ページが勝手にめくられる
スイル「今だ、皆飛び込め」
蒼「レッツゴー!」
一番に蒼がノリノリで飛び込んだ
少しは躊躇というものをしないのか、あの変態は
緑「行こう、紅」
戸惑う俺に緑が手を差し伸べてくれた
紅「ありがとう」
俺は有り難くその手をとり、一緒に本の中へと飛び込んだ
光の眩しさに、俺は目を瞑り流れに身を任せる
浮遊感で居心地が悪かったが、緑のおかげで我慢できた
どれほどそうしていたか、いつの間にか浮遊感も消えた
俺が目を恐る恐る開くと…
紅「っなに!?」
俺フサフサした身軽な体、長い尻尾、低い視線…
紅「何故俺は猫になっている!?」
それになんだ、俺が喋る度に猫の鳴き声が耳に入ってくる
これはもしや俺の声!?
紅「あー」
ニャー
……俺だ
周りを見渡すと、他に誰もおらずただ赤いカーペットが敷かれている部屋にいた
緑はどこだろうか
俺が猫になっているんだ、皆も猫だよな
いや、そうでなければ俺は許さない
とりあえず歩き出し、部屋を探索
そういえば、この本の内容ってどんなやつだったのだろうか
それに誰が不満を抱いていて、どんな結末を望んでいるのか
俺は窓辺に歩み寄り、外を見ようと立ち上がる
さぞかし滑稽な姿だろうな、今の俺は
窓の外には人が数人いた
ここは一階でよく見える
1人はドレスを来た令嬢
もう一人はその令嬢のフィアンセだろうか
随分親しげな青年が1人
そしてふたりの従者であろう者が数名
貴族か?
こういうのを生で見るのは初めてだ
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