-2-

7/7
531人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「バカ、気をつけろよ」 「…ご、ゴメン…。」  頭の中がパニックを起こし、何が何だか分からない。  ――今の、なに?  もしかして…世に言う、……キス?  そして今、わたしは――。  田辺の、腕の中にいる。 「ま、待って……。ちょっと、待って」  大きな掌手のひらが、私の頭の後ろを支える。 「ちょっと、……待っ……」  そしてもう一度、強引に唇が塞がれた。  身体の力が抜ける。押し返そうとしたけれど、力が入らない。 「……ごめん。止まんなくなった」  田辺は唇を離し、バツが悪そうな顔をした。  私を立たせると、倒れた椅子を片手で軽々と起こし、また作業に戻って行く。  ――トントントン……カンカン、カン……。  数分後、トモコとヒロシが教室に入って来るまで、私はその場に立ち尽くしていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!