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しかし、俺の行動のせいで、篠原は酷い虐めを受けるようになった。
何度も止めようと思った。
それでも、いきなりキスをした手前、合わせる顔がなかった。
今思えば、なんてくだらなかっただろう。
俺の一言で、きっと篠原は救えた。
そしてとうとう、その素顔を見ることもないまま。
その口が俺に愛を紡ぐのを見ることもないまま。
篠原は俺の故郷へと去って行ってしまった。
それまではバカにしていた田舎町も、もしかしたら篠原がまた戻ってくると思えば愛しく思えた。
9年越しで初めて見た、篠原桂那の素顔。
あまりに綺麗で、言葉を失った。
そして、恨まれているという事実に気付いて落ち込んだ。
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