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そして、絶句した。
「ユーちゃん………おめでとう!!ママとっても鼻が高いわ!」
…………あれ?
「まぁまぁ、あのウルカディアの王様にお呼ばれして、しかも理由が勇者に選ばれたからですって?すごいじゃない♪」
「あ、あの…お母様?お外に行くんですよ?離れ離れになっちゃうんですよ?」
「あらぁ、ダイジョーブよ!だってこんな隊長さんが一緒なんですもの♪勇者…あぁなんて素敵な響きなのかしら。ユーちゃん、家族は離れ離れになってても繋がっているから寂しくないのよ!さっ、そうと決まれば荷造りしなくちゃね!」
母は強し、とは誰が言った素晴らしい言葉なのか。どうやらそれはうちの親にも当てはまるらしく、生き生きとした表情で荷造りをするため、俺の部屋へ向かった。
「…これは、涙を流すべきところなのだろうか?」
「うぇぇユーちゃぁぁん!!パパを置いでどごに行ぐんだぁぁい!!」
「何であのクソ親父泣いてんのよ……ってか、アンタも泣かないでよキモい。」
………訂正。母だけじゃなく、女は強い。あと親父きめぇ。
その後。光のような早さで(母の無駄なお力添えあって)荷造りを終えられた俺は、アルトゥールさんに連れられ、村を出た。
まさか、バイトも週二くらいしか入ってない半ヒキコモリみたいな俺が、村を出ることになるなんて思っても見なかった。精々お見合いで結婚して、安月給なとこで働く人生だって勝手に決めつけてたのに。
しかもなんで勇者なんかにジョブチェンジしちゃったかなぁ…。
「(それもこれも、すべてはこの赤紙がこんな運命を招き寄せて来やがって……って、ん…?)」
俺は顔も見たことのない王様からの赤紙を握りしめ、忌々しげにそれを睨んだ。
そして、そこで俺はある不可解な部分に気が付いた。
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