目は口ほどにものを言う

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オイゲンはステッキで倉庫の地面を2回、3回、4回と叩く。 叩いた場所が山吹色の波紋を生みだしたかと思うと、地面から人の形をした鼠色のコンクリート色人形(ゴーレム)が4体出現した。 だが出現と同時に人形(ドール)は為すすべもなく砕け散った。 「精製と同時に砕けたか、ギリギリだったな…。だが、この数ならどうだ!」  目にも止まらぬ速さで地面をカカカカッ!!と叩くとゴーレムが次々と姿を現した。 オイゲンは際限なく床を叩き続け、ゴーレムは無限のように湧きだす。  空也さんは呪文を唱えるのは間に合わないと判断したのか、ゴーレム1体、1体に飛びつき、蹴り、拳で貫き破壊してまわる。 だが空也さんの破壊スピードよりも速く、ゴーレムが出現する。 空也さんは2体同時、3体同時とアクロバットに撃破していくも物量に圧倒され始める。 『木偶(デク)消エロ!』  彼女の怒気をはらんだ声がゴーレムの体を震わせ、内部からことごとく破壊していく。 「化け物だな…だがこちらは人質を使わせてもらうッ!」  呆然と観戦者となっていた僕を背後から出現した1体のゴーレムが羽交い締めにする。 咄嗟のことに反応できず、僕はあっさりと捕まえられてしまった。 「おっと下手に倒さない方がいいと思うぜ。そのゴーレムにはワイヤーが仕掛けてある。破壊と同時にピンが飛ぶぜ」  オイゲンの言う通り、ゴーレムの両腕の隙間、つまり僕の胸には手榴弾がピタリとくっついている。 無事に帰すという紳士的な態度はどこに行ったのか…!僕は理不尽な怒りに駆られた。 「やっぱり今日も勝てそうにないな。俺はここで退散させてもらおう。追ってくるなら彼の爆死を覚悟するんだな」  オイゲンはいつの間にか扉の前に立ち、外へと消えていった。 残されたのは空也さんと僕と爆弾つきのゴーレム。 このゴーレムも時限的に爆発するとも限らない。
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