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「僕はそういった制服を着てなかったですよ…」
そういえば今はTシャツとパンツだけしか履いていないな…。
「おそらく瞬時に自分と君を強力な魔法で、目の前の手榴弾を除いて包んだのだろうね。と言ってもただの魔力で覆っただけだから完全に防ぎきれなかったんだろうな」
それで僕だけあちこちにダメージが残っているわけか。
「ほら、ちょうどいま出来あがったところなんだ。君の分の制服。同じように防御を高めたりする効果がる。君が入部してから徹夜して作っていたんだけどタイミングが悪かったみたいだ。まあ、ちょうど制服がぼろぼろになったからちょうどよかったとも言えるか。着てみなよ」
渡された制服はいつもと変わらない、うちの高校の制服に違いなかった。
ただ若干重くなったり、内ポケットやファスナーなど見えない部分の収納スペースが増えていたりする。
「機能性も考えてみたんだ。デザインは変えられないからね、ちょっと遊んでみたんだ。着た感想は?」
「ええ、まあ…ちょっと重いくらいですけど意外と動きやすいですよ」
「そう、よかった。それで手芸部…もとい魔女の件はどうする?ボクとしては君が嫌なら無理強いはしない。今日もそれで危険な目に遭わせてしまったからね」
先生は白衣のポケットから煙草を1本取り出し、火をつけずに咥える。
「僕は……彼女に借りがありますから。彼女の役に立ちたい!って…今日思いました」
危険を顧みずに僕を救出してくれたことにも、それが危険ではなかったと知っていたとしても僕は彼女の行動に感謝という言葉では表せない感情を持っていた。
おそらくヒーローに救われたヒロインの気持ちは、多分こういうものなのだろう。
「そうか…。てっきり辞めたいと言うかなと思ったが、君も男ということだな。よし、わかった!本当はこの学生服のように特殊な装備を作る予定だったが、追加で君に魔法を教えるとしよう」
「…魔法ですか?ばーん、と攻撃したりするアレですか?」
「いや、そういうのじゃないけど自分の身は自分で守れるくらいにはできるように、ね。さて今日はもういい時間だ、帰る支度をしなさい。今度はちゃんと聖をつけていくから。おーい、聖ー」
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