1.白昼夢と自己顕示欲

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 馬鹿にするように大笑いされてしまう。理不尽な説教も付け加えながら。  片付けを済ませた後は二階にある自室に移動。するとそこに膨らんだ布団を見つけてしまった。 「何なんだ、一体…」  普通こういう場合は自分の部屋に引きこもるハズなのに。なぜ喧嘩相手の居場所を選ぶのか。  相変わらず理解に苦しむ行動をとる華恋に声をかける。布団に手を伸ばして第2ラウンドを開始した。 「どうしてここにいるのさ。自分の部屋に戻りなよ」 「やだっ! 雅人がうんって言ってくれるまでどかないもん!」 「いつまでもそこにいたら眠れないし。邪魔!」 「寝かせないよ。デートしてくれるって言うまでは!」 「分かったよ、付き合えば良いんでしょ! 付き合えば」 「本当に!? やったぁ!」 「はぁ…」  けれど戦いはゴングが鳴ってから早々に決着する。挑戦者があまりにもしつこすぎたが為に。  無理やり出掛ける約束を取り付けられこの日は就寝。少しも気が休まらなかった。
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