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「じゃあ、これ。今年もお願い」
「へいへい…」
差し出されたポーチを受け取る。不満を抱きながらも会場内へと移動した。
周りには派手な色合いの服を着た人が数多くいる。普通なら彼らの方に視線を移してしまう所だろう。だが自分の意識は隣を歩いている淫乱女の方に奪われていた。
「フ~ンフフ~ン、フ~ン」
本人は呑気に鼻歌を歌っている。聞き覚えのあるような無いような何かのテーマを。
「ねぇねぇ、これどう? 似合う?」
「ん? 可愛いんじゃない」
「へっへ~。誉められちゃった」
「あのさ、もう少しどうにかならなかったの? 地味じゃなくても良いから露出を控えめにした衣装とか」
「何々、もしかして不安になっちゃったの? 雅人は心配性だなぁ」
「だって普通は文句の一つもつけたくなるって。こんな格好を見せられたら」
彼女がニヤついた顔で下から覗き込んできた。やはりからかっているらしい。コスプレを楽しむ為にここまで足を運んだハズなのに趣旨が変わっていた。
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