1.白昼夢と自己顕示欲

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「テンションやばいわ。楽しすぎ、デヘヘヘヘ」 「ヨダレ垂れてるよ」 「おっと、うっかり!」  それから2人で当てもなくブラブラと歩く。時には撮影をお願いし、時には撮影を頼まれ笑顔を振りまきながら。  声をかけてきたのが女性、もしくはカップルなら何とも思わない。しかし相手が男だとどうしても身構えてしまった。  下心満載の目で舐めまわしているんじゃないか。スカートの中を盗撮しようと企んでいるんじゃないか。心の中で様々な思惑と葛藤していた。 「あっ、もずくちゃん発見」 「ん?」  しばらくすると声を張り上げた華恋が突然駆け出す。その先には似たようなコスプレ衣装に身を包んだ集団がいた。 「ふぅ…」  どうやら去年も顔を合わせたお友達らしい。自分は彼女達と面識が無いのでその場に留まった。 「颯太いないなぁ」  同じく1年前にバッタリと出くわした知り合いがどこにもいない。見逃しているか、それとも来ていないのかは不明だが。
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