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「雅人、こっち来て」
「……えぇ」
水分補給していると華恋が振り向きながら声をかけてくる。わざわざ手招きまで加えて。そのせいで周りにいる女性達の視線がこちらに集中。こんな状況で逃げ出す訳にもいかないので素直に歩み寄った。
「ど、どうも…」
「この人、いつも言ってる人」
「ちょっ…」
「約束通り連れて来たよ。だから言ったでしょ? 本当だって」
「何々、なんなの…」
強引に腕を絡めとられる。戸惑う反応を無視して。
ほぼ初対面でしかも相手は女性の集団。緊張しない訳がなかった。
「大人しいけどね、優しいんだ」
「キャーーっ!!」
「羨ましいか! 羨ましいか!」
「羨ましいーーっ!!」
華恋の一語一句を聞いて女性達が興奮する。アイドルコンサートに来ている観客のように。
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