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視界の中に長い廊下が飛び込んでくる。白い壁に白い床、同一色のシンプルな世界が。
そしてその先には1つの扉が存在。この奇妙な空間に存在する唯一の出口だった。
「……んっ」
緊張感が止まらない。つい固唾を呑んでしまう程に。
覚悟を決めた後は扉の前へとやって来る。そのままノブを捻って奥へと進んだ。
「もうすぐだね…」
中に入ると声をかける。部屋にいるただ1人の人間に向かって。
彼女は鏡台の前にある椅子に静かに着席。まるで鏡の中にいる自分自身に何かを問いかけるように佇んでいた。
顔を見たいがレース状の布で覆われていて出来ない。この位置から分かるのは純白なドレスで着飾った後ろ姿だけ。
「ふぅ…」
狭い室内は廊下同様に無色透明に近い世界だった。窓の外には綺麗な瑠璃色の海が見える。さざ波を立てている穏やかな風も吹いていた。
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