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「行ってきます」
バイト先へと出向く為に家を出る。まだ太陽が真上に昇る前の午前中に。
子供がいるパートさん達にとって夏休みとは子供の世話をしなくてはならない毎日。普段、夕方からしか働けない学生組とはシフトの入り時間が逆転していた。
「こんにちは」
「……こ、こんにちは」
自宅を出てすぐの道路で声をかけられる。髪を両サイドで縛った小さな女の子から。
「ふぅ…」
彼女には見覚えがあった。何度も顔を合わせるご近所さんとして。
「小学生かな…」
我が家のすぐ隣には大きな1軒家が存在。しかし家主が亡くなった際に遺族が売却。相続税を払う為だったのか急な建て壊しが始まってしまった。
代わりに広々とした空き地には二階建ての家が3軒も建てられる事に。次々に住人が越してきており、今し方出くわした女の子はその内の1人だった。
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