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「お兄さんの家に行っても良いですか?」
「は? どうして?」
「ん~と…」
「もしかして自宅に入れないとか?」
「え?」
「あれ? 違ったかな」
「そ、そうなんです。実は閉め出し喰らっちゃって」
咄嗟に思い付いたシチュエーションを口にする。子供がよく出くわすトラブルを。
「あらら、それは大変だね。中に誰もいないの?」
「はい。お姉ちゃんも部活で留守にしてますし」
「お父さんかお母さんは?」
「2人とも仕事です。夜まで帰って来ません」
「むぅ、そうか…」
この子のお姉さんは何度か見かけた事があった。自分と同じ年ぐらいの女性。けれど接点もないので連絡先を知らなかった。
「ケータイの番号とか分かる?」
「いえ、全く」
「う~ん、それは弱ったなぁ…」
とりあえず今すぐに家へと入れる方法は無いらしい。ゼロではないが実行してはマズいだろう。ガラスなんて割ったら大騒ぎになるだけだった。
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