2.天使と悪魔

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「お兄さんの家に行っても良いですか?」 「は? どうして?」 「ん~と…」 「もしかして自宅に入れないとか?」 「え?」 「あれ? 違ったかな」 「そ、そうなんです。実は閉め出し喰らっちゃって」  咄嗟に思い付いたシチュエーションを口にする。子供がよく出くわすトラブルを。 「あらら、それは大変だね。中に誰もいないの?」 「はい。お姉ちゃんも部活で留守にしてますし」 「お父さんかお母さんは?」 「2人とも仕事です。夜まで帰って来ません」 「むぅ、そうか…」  この子のお姉さんは何度か見かけた事があった。自分と同じ年ぐらいの女性。けれど接点もないので連絡先を知らなかった。 「ケータイの番号とか分かる?」 「いえ、全く」 「う~ん、それは弱ったなぁ…」  とりあえず今すぐに家へと入れる方法は無いらしい。ゼロではないが実行してはマズいだろう。ガラスなんて割ったら大騒ぎになるだけだった。
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