2.天使と悪魔

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 しかしその行動は途中で中止。引き返す為に上がってきた段差を戻った。 「こっちこっち」 「うん」  部屋主に許可は得ていないがやむを得ないと判断。華恋には無断で客間へと侵入した。 「その辺にあるの適当に漁っちゃって良いよ」 「わぁ~、いっぱいある。全部雅人くんの?」 「いや、妹の。ここ妹の部屋だから」 「凄いなぁ。私とお姉ちゃんのを合わせた数より多いかも」  彼女が部屋の一角に手を伸ばす。乱雑に積まれたコミックの山へと。 「あ、ここで読む?」 「え? ダメ?」 「ダメっていうか、その……まぁいいか」  この子なら荒らす可能性も低い。リビングに引き返そうとしていた意思をかき消した。 「ふぅ…」  床に体育座りする女の子を視界の中に収めながら学習机の椅子に腰掛ける。ポケットからスマホを取り出すのと同時に。
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