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「え? 何、アナタ。この人に無理やり連れて来られたの?」
「うん。外で遊んでたら『お兄ちゃんちに来ない?』って声をかけられて」
「アナタ、お隣の子よね。大丈夫だった?」
「こ、怖かった。変な事されるの嫌だった……グスッ」
「……そっか。嫌な思いさせちゃってゴメンね。もう平気だから」
彼女が先程までと打って変わって泣きそうな顔を浮かべている。ワザとらしく目を擦りながら。
「違うって。何を言ってるのさ…」
意味が分からない。頼まれた遊びに付き合ってあげただけなのに。パニックに陥っている間にも2人は至近距離で会話を進めていた。
「お家帰れる? 1人で大丈夫?」
「うん、平気。お姉ちゃんが助けに来てくれたから助かったよ」
「そう。なら早く玄関から逃げて良いわよ。後はお姉ちゃんが何とかしておくから」
「本当に? ありがとう!」
「いやいや…」
小さな体が隣の部屋の奥へと消えていく。この場から逃走する為に。
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