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「……いちちち」
バイト中の暇な時間帯、ヒリヒリする肌を左手で擦る。赤く腫れ上がった頬には絆創膏が貼られていた。
昨夜は華恋に暴力を振るわれすぎて散々な目に。香織や母さん達には笑われ、風呂に入ったら痛みに悲鳴をあげ、夜は恐怖とダメージで眠れなかった。
「どうしたんですか。神妙な顔をして?」
「いや、その……色々あって」
「もしかしてまた妹さんに暴力を振るわれたとか?」
「な、何で分かったの!?」
立ち尽くしていると片付けを済ませた同僚が話しかけてくる。面倒くさがり屋ではなく要領が良い方の後輩が。
「はぁ……やっぱり」
「君の中でいつの間にかうちの妹は狂暴キャラが定着していたのね」
「そりゃそうですよ。あんな豪快な性格の人、私の周りにいませんから」
「この前も腕相撲やったら負けちゃってさぁ。強い強い」
「あ、なら今度私とも勝負してみますか?」
「ん? 別に構わないけど」
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